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宇治小倉こども相談室

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2022年1月~12月

親の相談室(兄も弟も不登校状態だけどどうすればいいの)2022.12.1


 先月から,「FIFAワールドカップカタール2022」が始まっています。
 日本の初戦は対ドイツであり,歴史的な逆転劇で「日本の勝利」となりました。ワールドカップへの関心が一気に盛り上がりました。
 各社の新聞は1面で日本の勝利を掲載し,各放送局も終日ゴールのシーン等を放映していました。この勝利は,「日本国民としての誇りの高揚」に貢献したことでしょう。

 プーチンロシアのウクライナ侵略では,ロシアはウクライナの発電所などの施設への砲撃を全土に行い,ウクライナ国民への電気の供給を遮断しています。
 厳冬を迎えるウクライナの国民生活に大きなダメージを与えています。ロシアは人として許せない「残酷な行為」を行っています。

 コロナ関連では,いよいよ海外からの旅行が解禁となっています。観光地は,「国内外の旅行者」であふれています。嬉しい反面,新規感染者が増加し「第8波」が訪れていますね。

 やっと,先日に塩野義製薬の「国内初のコロナワクチン」が国に認可されました。国産の経口の治療薬の申請も始まってきています。

 さて,「保護者から,兄も弟も兄弟そろって,不登校になってしまった。とても,しんどくて,耐えられない。親の子育てのどこが悪いか。」と悲鳴のような声を聴きます。

 そして,「不登校は一人でも大変なのに,兄弟そろって家にいる状態になってしまった。みんな普通に学校に行っているのに,わが子だけが朝からずっとゲームをしている。学習がとても心配だ。」と心配をされます。

 親子関係では,「こどもたちを叱れば叱るほど親子の関係が悪くなっている。学校に行けというと暴れまくるので,腫れ物に触るように接している。このままでも大丈夫なのか。こどもの将来が心配だ。」といろいろな思いを述べられます。

 こどもに登校して欲しいという思いから,こどもが学校を休んでいても,親は「こどもが心からリラックスできること」を心がけるといった必要性に迫られます。兄弟姉妹に配慮をしながら,休んでいるこどもに「愛情を注ぐ」ことになります。
 兄弟姉妹は「今はしようがないなあ。」と思いつつ,普通に登校をします。

 しかし,不登校が長期に渡ったり,休んでいるこどもが元気になってきたりすると,兄弟姉妹にも不満がでてきます。学校を休めば「親や先生から大事にしてもらえるということ」を学習し甘えたくなります。それはそれで自然な「思い」でしょう。

 兄弟のひとりが不登校になれば,兄弟とも不登校になるリスクはあります。兄が登校すれば,弟も不登校になることが多いです。あたかも,以前公園にあった「シーソー」のように交代で学校を休むことも出てきます。

 勤務していた相談機関で,小3から中3まで不登校の双子の「姉」を担当していました。姉は中3から徐々に登校を始めたところ,「妹」が中3になって急に学校を休み始めたのです。

 妹は「適応指導教室」に通級して,中学校を卒業しました。あたかも,姉妹間で「不登校の帳じり」を合わせたかのように,それぞれ不登校を経験しました。卒業後,姉妹は看護を専門とする私立高校にそろって入学しました。

 親にとって,兄弟姉妹が不登校になることはとても辛いことです。しかし,親の子育ての問題というよりも,「兄弟間の思い」から不登校になっています。

 兄弟姉妹は,最高の友であり,ライバルでもあるわけです。そのような「兄弟間の思い」を「兄弟間葛藤」と呼んでいます。兄弟姉妹を意識して不登校になり,あるいは交代で不登校になることは決して珍しいことではありません。

 兄弟姉妹でしっかりと「不登校」ができれば,兄弟姉妹の絆は「将来のための糧」になるかと思っています。でもって,親は大変でしょうが「今を大事にして」兄弟姉妹と関わることを提案します。これしかないのですから。

親の相談室(祖母から子育てはこうだよと言われるけど)2022.11.1


 先日久々にJR京都駅まで買い物に出かけたところ,人の多さに驚きました。駅構内も,駅周辺も,人でごった返しており,嫌だというよりも,懐かしい感じさえしていました。
 全国旅行支援もすでに始まっており,コロナの「制約」から人々は解放されて,この上なく嬉しく思えてきます。

 ウクライナ全土に,ミサイルやドローンの攻撃で,民間の人々の命が脅かされています。プーチン大統領はとんでもない罪を重ねています。
 欧米の情報を信じる限りにおいて,許すことのできない侵略戦争を行っています。国連の安全保障理事国でありならが,核の使用をチラつかせるなどもってのほかです。
 少しでも早く休戦協定につながってほしいものです。

 ところで,「祖母から子育てはこうだよと言われるけど,とてもしんどいです。」と,しばしば聞く機会があります。

 以前に,勤めていた公共の専門相談機関では,祖父母からの相談を受けることはしませんでした。
 孫のことが心配だということで,「親が動かないので,祖母の私自身が相談に行って,孫を何とかしてやりたい。」と相談の申込みが入ります。

 しかし,「祖父母のお気持ちは分かりますが,母親か父親から直接に申し込むようにお伝え下さい。」とお断りをしています。
 例外的に,何らの理由で親の代わりに,祖父母が育てておられる場合は相談を受けていました。

 どうしてかというと,親は「親の子育ての役割」があります。祖父母は「祖父母の役割」があります。親には子育ての責任があり,親が中心となってこどもを育てます。

 もちろん,子育てに不安があり援助が欲しいときには,祖父母に要請をすることがあります。しかし,親が要請もしていないのに,祖父母が心配をして,育児や子育てに「指示」「支援」をすることがしばしばあります。

 祖父母は良かれと思って「こうすればいいよ」と「指示」をすることが多いことでしょう。しかし,こういう「指示」は,決して間違ってはいないでしょうが,親が親なりに考えて懸命に子育てを行っています。
 「指示」が重なると,親は「干渉」されているとさえ思ってしまいます。

 「指示」よりも,「見守って欲しい」というのが親の本音でしょう。距離を取って見て欲しいものです。

 親は「親の役割」があり,祖父母は「祖父母の役割」があります。役割を越えないことが大事となってきます。それぞれの役割を越えない境界線を「世代間境界」といいます。

 臨床心理学では,この境界線はとても大事な概念となっています。祖父母の「存在」はとても大きいです。子育ての相談を受ける時には,必ず祖父母の「存在や距離(近さ)」などを聴いています。

 この境界線をなんとなく理解されている祖父母が多いのですが,この境界線は「うやむや」になりやすく,そんなときに「こどもに問題が起こること」が結構あります。

 こどもに発達の課題があるときに,祖父母から「親の子育てが問題」だと親が責められることがあります。
 そんなとき,こども専門の医者は,あえて「自閉症スペクトラム」の診断をつけて,子育ての問題ではないと「配慮」をすることさえあります。

 それにしても,祖父母が「指示」をすればするほど,親は子育ての自信がなくなります。

 親が「今は,こどもの子育ては親がします。助けて欲しいときはお願いします。」と祖父母に言えることができればいいかと思っています。
 「こんなことを言えるなら,すでに言っているよ。」と叱られそうですが,思い切って一度言ってみませんか。

 無理なら,心の中で叫んでみませんか。ちょっと楽になるかもしれませんよ。
 もっとも「世代間境界」という言葉を知っているだけでもいいかと思っています。

親の相談室(こどもが過保護だと親を責めるけど)2022.10.1


 9
27日に元安倍総理の「国葬」が日本武道館で行われました。この「国葬」の是非では,世論が「賛成」と「反対」で2分されたと報道されています。

 国会前のデモのようす,街頭インタビューのようすなど,「国葬」を反対する報道がなされていました。若い人々が列をなしている弔問台の献花のようすは,最後につけたしたように報道を締めくくっています。

 マスメディアは,「国葬」を賛成してはいけないかのような決まりでもあるのでしょうか。元安倍総理の「死を弔うこと」が希薄になっています。
 
 これからでも「喪」の始まりとなって欲しいです。本格的に「お悔やみの心」が日本人に広がっていくことを願っています

 それから,プーチンロシアが,ウクライナの4州の「併合宣言」をしました。武力で占領しての一方的な宣言です。20世紀の第2次世界大戦の状況を見るかのようです。

 あと,コロナの新規感染者は5万人前後と決して少なくありません。いつまで続くのでしょうか。

 ところで,「こどもが過保護だ,過干渉だと攻撃してくる。」という親の相談を受けることがあります。逆に「放任し過ぎだと責めてくる。」という相談もあります。

 どの親も「こどものため」に家事や仕事に追われて,懸命に生活をしています。にもかかわらず,こどもは過保護だの過干渉だの,あるいは放任だのと親を責めてくることがあります。

 こどもの要求を聞いて「欲しいもの」を叶えてきたのに,これでもかというほど,次から次へと新しい要求を突き付けてきます。親は「こどものために」できることを懸命に行っています。にもかかわらず,それを「過保護だの,過干渉だの」と攻撃されるわけです。

 親も疲れてきます。疲れてきて,こどもの要求を突っぱねると,今後は「放任している」何もしてくれないと攻撃してきます。

 さずがに,親も「堪忍袋の緒」が切れてしまうことでしょう。泥沼状態になります。

 どうすれば良いのでしょうか。適切な「干渉」「保護」「放任」ができればいいかと考えています。ありきたりの言葉で,申し訳ないのですが,どう「バランス」を取るかでしょう。

 親が「やり過ぎないこと」「頑張りすぎないこと」ことですね。それから「こどもの言葉」を良く聴くことですね。それだけです。
 あと,「子育てを楽しむこと」ですね。

 そんなことは,「できることはやってきたよ。」「できればすでにやっていたよ。」という親もおられることでしょう。それはそれでその通りだと思っています。

 しかし,改めて「やり過ぎないバランス」が大事だということを考えてみてはいかがでしょうか。

親の相談室(親子ともイライラしているが大丈夫なの)2022.9.1


 軍事大国のプーチンロシアがウクライナに侵略を始めて,すでに6か月を経過しました。ウクライナはアメリカやイギリスなどの西側からの支援を受けて,戦局が一進一退の硬直状態になっています。
 しかし,このままに戦争が長引けば,戦死者がますます増えることになります。少しでも早い停戦が望まれます。

 新型コロナもいまだに継続しています。先月よりも,新規感染者は半減していますが,全国で10万人だとは驚きの数です。死者の数も,決して少なくありません。

 さて,「こどもが言うことを聞かない。こどもがイライラしている。私(親)もイライラしている。しつけが大事だと思って,叱ってばかりである。こんな子育てを続けていてはだめだと思うが,他に仕方が分からない。」と聴くことがあります。

 そして,「ずっと生活に追われて,子育てに自信が持てない。」と,相談のあい間にこのような本音を聴くことがあります。

 こどもの相談を継続していると,どうしても親自身の生活を振り返る機会が多くなり,このままではいけないと思われることがあります。

 カウンセリングのような場でなくても,ふと現在の状態を振り返って,これではいけないと不安になることがあります。

 こんな時は,気を取り直して良い機会として,「子育て」を振り返ってみるのもいいかと思っています。「どうして,そんなしんどいことが起こるのだろう。」と考えてみるのもいいかと思っています。

 学校の先生をしているときに,「穏やかな教師が,穏やかな学校(生徒)をつくる。」という言葉を大事にしていました。相談業務に入ってからは,「穏やかな親が,穏やかな家庭(こども)をつくる。」にシフトしています。

 しかしながら,感情を抑えて,コントロールすることは難しく,一旦スイッチが入れば,大人でもどうしようもなく,取り返しがつかないほどイライラしてしまいます。感情の制御はとても難しいものです。気持ちを穏やかにしていくのも大変です。

 親自身がイライラしているときには,気持ちを切り替えて子育ての「楽しかったこと」を思い出すことが良いかと思っています。子育ての「やりがい感」や「充実感」を思い出すのも良いかと思っています。

 楽しかったことを思い出しながら,やりがい感を意識して,現在の状態を「楽しむこと」に気持ちを注いでいくことですね。一度試しにやってみませんか。

 親が穏やかな気持ちでいることは,「子育て」にはとても大切なことです。「子育て」はあっという間に終わりますよ。


親の相談室(教室がうるさいとすぐに耳をふさぐけど)2022.8.1


 再び,「新型コロナ」が猛威を振るっています。いよいよ「第7波」となっています。毎日の全国の新規感染数が20万人(7月末現在)を超えてきており,病床使用率の高さが話題となっています。変異株ではオミクロン株「BA.5」やケンタウロスといった聴き慣れないものができています。 

 さて,元安倍首相が暗殺されて,もう1ヶ月を迎えようとしています。日本だけでなく,世界中が悲しんだ衝撃的な事件でした。銃が使われたということもショックでした。
 暗殺の動機となった「旧統一教会」の寄付金のこと,その教会と政治家との関連が報道されています。「奈良県警の警備態勢への追及」はどうなったのかと思うほど,「教会と政府関係者への追及」が問題となっています。「弔い」よりも,「政治」が優先されています。

 ところで,こどもが「教室がうるさいといってすぐに耳をふさぐ。耳栓をすれば登校できるけど。」と聴くことがあります。


 こどもが「耳栓をしていれば,教室で授業を受けることができる。」ことは,こどもにとって安心できる教室の環境をなっているわけですね。その対応で良いと考えています。

 そもそも,音や声などで「こどもが耐えられないほどの不快を感じる。」というのはどういうことでしょうか。一般的には,「聴覚過敏」と言われます。

 聞こえてくる声や音に他の人より敏感なのです。テレビの音や音楽,ありふれた人の会話,くしゃみなどもその対象となります。工事現場では立ち止まって動けなくなることもあります。

 しかし,こども自身が大きな声や音を立てることには気にしないことに,親はこどもの感覚に不信感や不安を感じます。

 ただ,外部から聞こえてくる声や音によって「こどもが不快を感じている。」のは確かなのです。こどもが体調を崩してしまうこともあります。

 匂いも気になって,不快感を示すことがあります。「嗅覚過敏」です。化粧の匂いが気になって,電車に乗れないこどももいます。

 こういう感覚過敏が音や匂いだけではありません。「触覚過敏」,「視覚過敏」,「味覚過敏」もあります。肌に触れられることを極端に嫌うこと,太陽の光がまぶしいことや蛍光灯がチカチカして気分が悪くなること,特定のものしか食べることができないといったことです。

 「耳栓をすれば普通に行動できる」程度の症状なら,全く大丈夫でしょう。しかし,何かの感覚過敏によって日常生活に支障があるような困りごとがあるようでしたら,医療機関に相談するのもよいかと持っています。

 「感覚過敏」があれは,ひょっとすると「非定型の発達の課題」があるかもしれない。「自閉症スペクトラム症」(ASD)かもしれないと思われることがあります。

 しかし,感覚過敏があるからといって,それだけで非定型発達の課題等があるということにはなりません。発達検査の結果やその他の課題をトータルで考えることが必要でしょう。

 「感覚過敏」である特性を生かしての生活を意識できればいいかと考えています。とても飛躍したことかもしれませんが。「音に敏感な感覚」をもつこどもが世界的な音楽家に,「味覚に敏感な感覚」を持つこどもが有名な料理人に成長することがありますよね。

親の相談室(こどもが過呼吸を起こすがどうすればいいの)2022.7.1


 毎日が本当に暑いですね。地域によっては40度を記録しています。報道の中心は「酷暑と熱中症」となっています。

 今は「参議院選挙」もニュースで取り上げられています。野党がどれだけ議員数を伸ばせるかが話題となっています。それから,「為替レートの円安傾向」ですね。極端にすすめば,日本経済の減速がすすみ,国民生活全般の困窮化が心配です。

 「ロシアのウクライナ侵略」や「新型コロナ」の話題が,ニュースの締めくくりとなってきています。コロナに関しては,各都道府県の感染者の人数を発表するだけの報道も多くなってきました。

 ところで,「こどもの呼吸がハアハアとおかしくなることがある。急にパニック症状を起こす。いつも焦ってしまう。こんなときどうすればいいの。」と質問を受けることがあります。

 この症状は一般的には「過呼吸」と呼ばれています。正式には,「過換気症候群」と呼ばれています。

 ストレスや不安からの息苦しさを感じて,それがさらに不安を高めて「過呼吸」にすすんでいきます。一度「過呼吸」を経験すると,また起こるのではないかという不安から,繰り返すことになります。しびれやめまいなどに発展することがあります。

 こどもによっては,「このまま死んでしまうかもしれない。」といった恐怖を感じて,周りを巻き込み,大きな騒動となって救急車を呼ぶこともあります。

 しかし,不安からくる「過呼吸」は,時間とともに治まっていきます。あわてず,治まるのを待つことが大切です。

 こどもの体を支えて,肩でもポンポンと叩きながら「大丈夫やし。」などという言葉を繰り返してもいいでしょう。必ず,治まります。

 以前は,「過呼吸」のこどもの口に「袋」を充てていました。呼吸を整えるためになされていましたが,酸素の吸入をストップしてしまう危険もあり,今はされなくなりました。

 要は,こどもの気持ちを落ち着かせ,呼吸を整えることを意識すればよいのです。こどもに声を掛けながら,「ゆっくりと息を吐くよう」に言えばいいでしょう。

 もうひとつあえて言えば,周りが焦らず落ち着いて,冷静に対応することでしょう。呼吸が少しましになれば,落ち着けるような場所に移動すればいいのです。

 こどもが別の理由でパニックを起こしたときでも,このような対処法でこどもの動揺や怒りなどは,たいてい治まります。親なりの言葉で応用してみて下さいね。

親の相談室(こどもが急に泣き叫ぶし暴れるがどうすればいいの)2022.6.1


 プーチンロシアのウクライナ侵略から,もう3か月も経ちました。人の命がどんどん失われています。ウクライナの美しい街もますます破壊されています。ロシアの兵士もなくなっています。ウクライナやロシアの多く人々の悲しみが増すばかりです。少しでも早い停戦や和解が望まれます。

 新型コロナも,予防接種も4回目を迎えようとしています。同時に野外でのマスクの解除も検討されるようになっています。

 ところで,「こどもが急に泣き出しておさまらない。パニックを起こしたように暴れる。理由は全く分からない。どう対応すればいいのか。」というご質問を受けることがあります。

 親は,泣き叫んでいるこどもをなだめようとしますが,全く状況が変わらないことがあります。もうお手上げ状態になって,しだいに親もくたくたに疲れてしまうのですね。
 親子で,泥沼に足を突っ込んで身動きが取れないような状況になってしまいます。

 さて,こんなときにこどもが親に求めていることがあります。「この腹立たしい気持ちを分かって欲しい。」ということです。それだけです。

 親の「こうしたらいいよ。」という指示や,「大丈夫やし。」といった慰めの言葉ではないのです。むしろ,その言葉がこどもにとって,「こんな腹立たしい気持ちを分かってくれない。」ということになってしまいます。

 こどもが「行動や考えを認めてもらっていない。」と思うことが,泣き叫ぶパニックのきっかけになっていることが多いのです。つまり「承認欲求」が満たされてされていないのですね。親には暴れる理由が分からないので,こどもはますます感情的になります。

 もちろん,「あれが欲しい。」といった単純な理由もありますが,これも承認欲求の1つでしょう。「あれが欲しい。」「これをしたい。」という気持ちを認めてもらえないという思いを持つわけです。

 「人から認めてもらいたい。」という承認欲求は,人には重要な欲求の1つです。自分の感情を言葉にできないこどもにとって,「泣き叫び暴れる」ことは,欲求を満たすための手段となります。

 そんなときに,親は,状況に応じて「つらかったね。」「大変だったね。」「しんどかったね。」「我慢したね。」と,こどもに「寄り添う言葉」を繰り返して発すればいいかと思っています。こどもの考えを認めることになります。決して難しくないことでしょう。
 それを聴いたこどもは,個人差はありますが,徐々にクールダウンしていきます。

 こどもが泣き叫んでいて,その場が混乱しているときに,こどもに「つらかったね。」と「寄り添う言葉」を試しに言ってみてはいかがでしょうか。案外いいかと思っています。

親の相談室(発達検査はどこで受けることができるの)2022.5.1


 プーチン大統領のロシア軍のウクライナ侵攻から,2か月が経ちました。プーチン大統領のフェイク発言とウクライナの悲しい状況の報道が続いています。このような報道を見るたびに苦しくなってきます。

 4回目の新型コロナの予防接種の予定が報告されています。依然として新規コロナ感染者の高止まりが継続しています。
 すでに,マスクを解除している国も見られるようになっていますが,なんか日本ではこの夏もマスクとお別れできそうにない感じがしますね。

 ところで,「発達検査を受けたいのですが,どこで検査をしてもらえますか。」とのご質問をお受けすることがあります。

 精神科や心療内科,思春期外来科,または児童相談所で検査をしてもらえます。発達検査のできる公認心理師や臨床心理士のいる相談機関でも可能です。

 個人的に言えば,こどもの検査数の多さと医療機関との連携の良さでは,公的な機関でもある児童相談所をお勧めします。しかし,児童相談所は申込み希望者が多くて,市町村によっては半年待ちもざらにあります。

 なお,こどもの発達検査では,現在WISC-Ⅳが中心となっています。指標は,言語理解・知覚推理・ワーキングメモリー・処理速度の4つあり,それと全検査IQとなっています。その指標のバランスと全検査IQから発達の課題を判断します。

 検査の流れとしては,検査のあとに,検査者の「見立て」が作成されます。その検査の数値と「見立て」を総合的に見て,医者が「診断」を行います。

 ここで,自閉症スペクトラムなり,ADHDなどの診断名が出てきます。そのあと,こどもの症状に応じて,医者から投薬がなされます。

 もし発達に遅れがある場合には,療育手帳の発行の手続きとなります。医者の診断書と関連書類を添えて,役所で申請を行っていきます。幅広く福祉の支援を受けることができます。

 それにしても,自閉症スペクトラムやADHDなどの発達障害が,広く知られてきていますが,その特性を聞いて,こどもが発達障害ではないかと不安を待たれることが多くなっています。
 ネットでも,すぐに調べることができます。ひょっとすると,親自身も発達の課題があるかもしれないと思われることもあります。

 そんななか,学校の先生や知り合いから,発達検査を受けてみればどうかと言われることがあります。

 いきなり,「こどもに検査を受けされてはどうか。」と言われても,混乱する親が多く存在します。ちょっとでも,早い方がいいよと言われると,ますます親は慌ててしまいます。

 そんなとき,焦らずに,検査を受けてから,あとはどうするかということを,しっかりと考えることも大事です。検査を受ける目的も,慎重に考える必要はあるでしょう。

 一番大事なのは,こどもの将来にとって,必要な検査かどうかでしょう。         


 こどものコンディションが悪くても,悪いままに数値が出てきます。その数値に基づいて,結果が出されてしまいます。また,こどもと検査者との相性によっても,検査の数値が変わってきます。

 そんななか,こどもへの「無意味なラベリング」だけは,絶対に避けたいと思っています。それは,親にも,こどもにも,大きな不安や動揺を引き起こすことがあります。

 そのようなラベリングを避けるために,医者によっては,親の話をじっくりと聞いて,必要のない「診断」をされないことがあります。とてもありがたいです。そんな医者も多く存在しています。

 それでも発達検査によって,こどもの得意分野も見出すこともできます。
 今までの子育ての困難さは,親の「育て方」ではなく,こどもの特性が原因だったことが分かってきます。子育ては間違ってはなかったことが分かってきます。

 そのようなことから,じっくりと考えてから発達検査を受けても,決して遅くはないと思っています。


親の相談室(登校できないけど学校に何をお願いすればいいの)2022.4.1

 
 ロシアのウクライナ侵略では,市民を攻撃するなどもう信じがたい行為行われています。21世紀の事件であるとは思われません。プーチン大統領が正常な判断ができないほどの精神疾患が疑われます。
 核の脅威をこれほどまでに身近に意識されることはありませんでした。コロナ禍の状態が吹っ飛んでしまうほど,重大な事件が起こっています。

 ところで,こどもが不登校や登校を渋るようになると,親は学校に何をお願いできるのでしょうか。
 もちろん,学校サイドから,「別室登校はどうですか。」「朝家までお迎えに行きます。」「放課後登校はならできますか。」などの対応策を提供してもらえればいいのですが,なかなかそうはいかないことがあります。

 そんなときは,親が子どもへの対応策を考えてから,学校にお願いすることになります。しかし,こどもの不登校のようすはさまざまであり,日によって登校の渋り方が違います。
 まる1日「教室で授業を受けた。」かと思うと,翌日には「家から出られることができない。」こともあります。

 「集団登校はできない。」「校門までなら行ける。」「教室は入れないが,保健室や別室までは行ける。」「給食や好きな教科ならば教室で過ごすことができる。」「放課後なら学校に行ける。」「学生ボランティアがいるなら学校に行ける。」 など,こどもの気持ちがいろいろと変化します。何をお願いしていいいのか親は分からなくなってしまします。
 「教室のこどもの席をカーテンで仕切ってみると,授業を受けることができた。」ということがありました。 
 何がいいのかさっぱりと分かりません。

 確かに学校の先生は驚くほど忙しいですが,どれも学校の先生の協力なくては,難しいことです。
 しかしながら,親が先生に相談すれば,先生は一生懸命に何かできるかを考えてくれます。学校体制の取り組みも可能です。
 クラス替えのときでさえ,友だちを配慮してもらえます。

 一方,受け皿としての学校や学級も重要となってきます。「いじめ」がある学級なんてもってのほかですが,こどもが学校へ行かない理由は,「学校が怖い。」「面白くない。」ということに集約されます。
 
 ありふれた言葉ですが,「楽しい学校」であることもお願いできます。こどもが登校できるためにはとても大事なことです。
 こどものことを真剣に考える先生方にとって決して難しいことではありません。

 こどもが「楽しい学校」に安心して登校できるまで,遠慮なく先生に相談を持ち掛けて下さい。こどもが登校できそうなことは,何でもお願いして下さいね。

親の相談室(不登校しているけど進学は大丈夫なの)2022.3.1


 ロシアのウクライナ侵攻には驚きました。米国の報道官から,ロシア軍がウクライナ周辺に集まっているとの報道が事前にされてはいましたが,まさかの武力行使でした。ウクライナの首都キエフが砲撃をされている情報も出ています。

 日本に近いところでは,このことが中国の台湾への侵攻を促すことにならないかが心配です。ロシアも中国も,侵攻に大義名分があるのかもしれませんが,武力による行使は絶対に許すことはできません。ウクライナや台湾の国民が望まないことであり,侵略でしかありません。

 このような国際的な問題が現在注目されていますが,京都の新型コロナのまん延防止措置も,新規感染者の減少も高止まりとのことで延長の可能性が高まっています。

 ところで,こどもが学校を休んで勉強をしないと,親はこどもの将来のことを考えてとても不安になります。こどもの将来に期待を掛けている親にとっては,絶望的な気持ちになってきます。
 ましてや,世の中は学歴社会であるかもしれないという思いを持つ親にとっては,学校を休むなんて許されないことです。もう心配でなりません。

 しかしながら,現在不登校のこどもへの配慮は驚くほどなされています。正直言って,以前の小中学校の不登校への対応は,校内暴力や補導問題の陰に隠れて,後回しになっていたのは確かです。
 まずは,荒れる学校を治めて,授業を成立させることが優先される時代もありました。今は不登校対策委員会などが校内でつくられるなどして,学校の大事な対策事項として捉えられています。

 不登校の生徒の優秀さに目をつけた公立や私立の中学校や高校では,特例的に入学させることもなされるようになっています。

 京都では,府立に清明高校,市立に奏和高校が開校されて,不登校経験のある生徒が多く登校しています。卒業の単位認定が柔軟な設定となっており,在籍も3年間や4年間と選択できます。学年を意識しないで,無理なく卒業できるような配慮がなされています。

 また,通信制や単位制の私学の高校も,もうすでに多くの卒業を出しており,不登校経験のある生徒が社会に旅立ちました。京都市内に集中していますが,不登校生徒を意識した多くの高校が存在しています。

 通信制高校等では,後期入学や年度途中の入学もあり,全日制高校等の取った単位も卒業に加算してくれます。早くから,ネット授業も取り入れている高校もあり,柔軟な対応で卒業に向けて,こどもに協力的な対策がなされています。

 高校認定試験を受けて,大学を目指す生徒もいます。昔の大学検定試験と違って,教科単位ごとに受験できるようになっています。不登校経験で思考を深める機会に恵まれたこどもには,大学への進学もいいですね。大学は,小中学校よりもよっぽど居心地は良いでしょう。

 なお,京都市では,洛風中学校や洛友中学校があって,不登校に特化した公立中学校があります。学年ごとに募集していますが,5月が転入学のスタートとなっています。ここでもすでに多くの卒業生を出しています。

 不登校生徒を配慮した学校の基本は,少人数であり縦割りを大事にしています。少ない人数のなか,上級生が新入生を導くという感じの姿勢でしょうか。校門を見るだけで震えていたこどもが,人の「やさしさ」に触れて元気になって巣立っていきました。

 こういう学校の不登校生徒への取り組みは,とても成功していると思っています。

 もし,こどもが学校を休み始めたら,焦らず,長い目でみて,こどもの思いを聴いてみることから始めるのがいいかもしれませんね。ずっとこどもが休んでいても,なんとかなるのですから。

 小学校で長期の不登校になったなら,漢字と九九と算数をやっておりさえすれば,中学校や高校はなんとかなるかと思っています。

 親の不安とあせりで,こどもの登校を促すことは,結果としてますますこどもを学校から遠ざけることになってしまいます。
 

親の相談室(不登校の相談はどこですればいいの)2022.2.1


 それにしても,デルタ株,オミクロン株へと進化している新型コロナは,いつ収束するのでしょうか。ステルスオミクロン株というウィルスも出てきましたね。もう驚くばかりです。
 オミクロン株の新規感染者数が7万人(1/27現在)を超えています。圧倒される数です。ただ,重症化が少ないのが救いです。

 ところで,こどもが登校をしぶる理由は,なかなか分からないことが多いですね。昨日と今日で理由も変わります。親はあやしたり叱ったりして,登校を促します。
 仕事があれば,毎朝時間との闘いとなります。こどもは頭が痛い,お腹が痛いといってトイレから出てこないのですから。

 学校への欠席連絡では,電話に出る教頭等ともおなじみになります。こんなことが毎日繰り返され,親のしんどさははかりしれません。

 こどもが学校に行けないことをどう捉えたらいいのか。家でどう対応すればよいのか。これからどうなるのかと,親は心配でなりません。

 こんなときの相談はどんなところがあるのでしょうか。

 まずは「担任の先生」との相談が良いです。担任の先生にこどもの受け皿としての学級づくりをお願いできれば良いですね。それも学級が荒れているときは難しくなります。

 先生は勉強や宿題に目が向いていることが多くて,相談は学習の話題が中心となることがあります。学習の相談では,登校につながることはあまりありません。

 また,たまたま登校しても,担任から「学校へ来れば楽しそうしていますよ。」と言われると,親のしんどさは理解してもらっていないと感じることがあります。

 「スクールカウンセラー(以下SC)」との相談では,より専門的なこども理解が可能になります。担任や管理職を通して申込みますが,SCの勤務は週に1回から2回であり,予約を取りにくい状況にはあります。

 「心療内科や精神科」も良いですね。頭やお腹が痛いとかの身体症状があるときや,夜眠れないときに受診されることをお勧めします。ここでは,投薬の処置もあります。

 睡眠障害やうつなどの診断や,検査をして発達障害の診断がつくこともあります。小学校では起立性調節障害,中学生や高校生では自律神経失調症などの診断がつくこともあります。
 不登校を病気として「学校を休めるお墨付き」をもらえるような診断がつきます。

 それから,各市町村にある「教育委員会の相談機関」や「児童相談所」も良いかと思っています。必要に応じて学校連携もあります。専門性はとても高いです。

 匿名性を重視したい親は,「電話相談」も良いかと思っています。

 有料ではありますが,「私設の相談機関」や「大学の相談機関」でも,とても丁寧な相談を期待できます。

 あと,不登校が長期に渡っているときは,「適応指導教室(教育支援センター)」というところがあります。学校の大きな集団は無理かもしれないというこどもが対象となります。

 適応指導教室は,教育委員会の管轄で,市役所や廃校となった校舎を使っています。勉強や行事活動などもあり,スタッフもとても充実しています。入級の書類は,学校にあって担任や校長に申込みます。

 最後に整理していきます。
 まずは「学校」や「SC」の相談ですね。
 身体症状があれば「心療内科など」をおすすめします。
 各市町村にある「教育委員会の相談機関」や「児童相談所」もあります。
 「大学や私設の相談機関」も専門的な相談ができます。
 匿名を重視するならば「電話相談」です。
 学校が窓口となりますが,長期に渡る不登校状態では「適応指導教室」となります。

 これらは,こども本人の相談だけでなく,親の相談もできます。気持ちの整理ができて,気持ちが落ち着くことでしょう。
 どこも親切であり,とても親身になって相談してもらえます。思い切って,気軽に問い合わせてみてはいかがでしょうか。大丈夫ですよ。

親の相談室(こどもの昼夜逆転をどうすればいいの)2022.1.4


 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。年末年始にかけて,日本列島を寒波がおそっています。風邪など引いてしまわないような体にコンディションを整えたいですね。

 徐々に「ウィッズコロナ」から「アフターコロナ」を意思した社会のモードとなってきています。まだまだ,新型コロナで困っておられる方々も多いかと思いますが,世の中全体としては,落ち着いたコロナ対策になってきているような気がしています。
 岸田内閣の「聞く力」でもって,経済政策もうまく機能すればいいのですが。

 ところで,「昼夜逆転」しているこどもが多くいます。「夜中にゲームをして,朝になると寝る。」という生活パターンです。もちろん,学校は休んでいます。なかには,遅刻してでも,登校を続けているこどももいます。

 そういうこどもに対して,親はあきらめながらも,どうにかならないかと「悶々」とされておられるかと思います。最初は,こどもとのバトルに始まり,徐々に受容や拒否などいろいろな姿勢に変化していったことでしょう。

 親が注意しても,こどもは親の忠告を聞き入れるどころか,荒れ狂ってしまうことになります。ネットを切ることなどはもってのほかです。

 せめて午前中には起きて,「朝の陽ざし」にあたってくれたらと願うばかりですが,なかかそうはいきません。自律神経系のためにも,「朝の陽ざし」はとてもよくて,心地良い副交感神経が優位となってこどもの機嫌もよくなっていくはずなのですが,なかなかそう上手くはいきません。

 睡眠時間の「25時間説」という生活サイクルという考えがあります。1時間ずつ寝る時間が遅れていくという睡眠サイクルのことですが,なんとなく分かるような気がします。
 親から昼夜逆転の相談を受けている時に,だんだんと時間がずれてきて,昼夜逆転がなくなったことがありました。このチャンスに,こどもと会ったことがあります。しかし,またずれていって昼夜逆転に戻っています。

 自己高揚感がなければ,昼夜逆転の改善には根本的な解決はないと考えています。こどもが目的意識を持つことです。あるいは,「将来への楽しみ」を持つことでもあります。
 大人になってからもそうでしょうが,何か楽しみがあれば,寝過ごすことはありません。むしろ眠ることができないぐらいです。

 自己高揚感を持てるような「将来の楽しみ」があれば,昼夜逆転をひっくり返すきっかけができることでしょう。こどもの体力があれば,翌朝に寝ないで「徹夜」することなど「へっちゃら」でしょう。

 こどもの「将来の楽しみ」を探すための親とこどもの「共同作業」が大事になってくるかと思っています。なかなかしんどい作業ですので,意識するだけでもいいかと思っています。
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